[イタリア]ベルニーニの呪い

テレザを諦めて徒歩でベルニーニ広場へ移動。
ここにもベルニーニの作である噴水があるという。
後でガイドブックをみたら「蜂の噴水」と「トリトーネの噴水」があるというが
そんなことは知らなかったので、片方だけみて満足してしまった。
あんな車がドシドシ走っているところの中洲に
突然優雅な巨大噴水があったら一個あるだけで十分だと思うじゃないか。
ホテルに戻って「蜂の噴水」を見逃したことに気がついたものの、時、既に遅し。
しかし、歩いている間は気がついていないので意気揚々と次の目的地へ向かう。


次なる目的地は「スペイン階段」
今はスペイン階段でジェラートを食べると罰金らしいけれども、オードリーがジェラートを食べていた背景にそびえていたあの階段は是非とも見てみたい。
と、いうことで進んでいくと目に飛び込んできたのはH&Mの巨大広告・・。
スペイン階段のど真ん中に位置するオベリスクが工事中で
工事の囲いにH&Mの広告が入っていたのだ。
オベリスクをすっぽり包むサイズの囲いであるからして、
階段の下からみても、上から見ても物凄い存在感。


これじゃ「H&M階段」だよ・・・。

本当は雨も強まって来たしここで、観光を切り上げようかと思ったのだが
スペイン階段の空振りで意気のやりどころを失い、次の目的地を探してしまう。
素敵SHOPの立ち並ぶ通りを抜けてポポロ広場へ向かうことにした。
ここには「キージ家礼拝堂」があり、そこにこれまたベルニーニの
ハバククと天使」という彫刻があるはずなのだ。


徐々に強まる雨とともに街頭で「キャシャー」「オンブレロー」と
傘を売る人影も増えてきた。
傘売りを避けつつポポロ広場からキージ家礼拝堂へ向かう、
ところが、またまた扉が閉まっている。
先客の観光客と思しき男性1名があらゆる扉を押したり引いたりしていたので
眺めて確認した限り、入れるところは無いらしい。
なんてこった。mamma mia!


H&M階段のショックも冷めやらず、そんな不幸は信じられない我々は
人の流れの少しでもある方へ足を向ける。
「もしかしたらこれは間違い教会で、他のところにあるかも知れないジャン?」
なーんて、可愛い期待を裏切るようについていった人の流れは丘を登り始める。
今回の観光では絶対に足を伸ばすヒマはないだろうと諦めていた
ボルゲーゼ公園にたどり着いてしまっていたのだ。


丘のテラスからはポポロ広場越しにサンピエトロ大聖堂の丸屋根が見えた。
そのテラスには先客が1名。
青い布をすっぽり被って直立不動。立ち尽くす男性(長身)。
その場違いなまでに静謐な気配に思わずニヤリとしてしまったのは、
私だけではないはずだ。少なくとも姉は笑っていた!
彼は雨に打たれながら何を思っていたのだろうか。
近くまで寄ってみたところ、青い布はポンチョでも撥水加工でもなく
本当にただの布だった。


青い布はキリスト教画では聖母マリアの衣装によく使われますね。


とりあえず、共に立ち尽くしてみた。

さすがに心折れて、ポポロ広場にある地下鉄駅からホテルへ帰ることにする。
これほど観光スポットに振られるとは、ベルニーニに嫌われているのだろうか。